第十三話「大地の怒り」

ノルダリア「ハル・・・チル・・・?」


ノルダリアは一瞬目を疑った。
夢かと思って、頬をつねったが、痛い。


ハルチル「助けに来たんだよ!お姉ちゃん!」


ノルダリア「ああ・・・・・・」


頬を暖かいものが伝う。
私達の願いは愛しい妹に届いたのだと、
そう感じただけで安心した。


マイルコークト「助け合ってこそ姉妹だもんね・・・」

マイルコークトももらい泣きをしている。
ネロネバルスは鼻水までたらしていた。




カイル「あ〜、なんか感動に浸ってるのに悪いんだけど
   ココから抜け出してからにしようぜ」


ライティア「いいねぇ、兄弟っていうのは・・・」


ハルチル「で、お姉ちゃん、私は何するの」


ノルダリア「ココから移動したいんだけど・・・」



ノルダリアは今までのことを簡単に説明する。
長々と話している暇は無い。
こうしている間にも、アメーバは
此方に近寄ってくるかもしれない。


ハルチル「そうかぁ〜・・・
     私も人は運べないからなぁ・・・」


飛んで移動することも不可能。
木づたいも不可能。
ハルチルの声を聞いてがっかりする皆。
しかし・・・


ハルチル「なら、木の中のアメーバを全部やっつけちゃえば
     いいんじゃない?」


ライティア「それは無理だよ。火や氷も効か・・・あッ!!」


彼女が何かをひらめいたように手を叩いた。


ライティア「ハルチルの大地魔法が使える!」


ネロネバルス「そうか!その手があった!」


ノルダリア「それなら手早く移動もできそうね・・・」


ノルダリアは早速脱出作戦を考えた。
まず、空から石を降らせるか地面から突き出させることで
アメーバを木ごと破壊する。
そして、その石を飛び石代わりに使えば、直接地面を踏まずに
遠くに移動できる。
魔法なのでMPさえあればいくらでも使える。


カイル「ま、ド派手だけどそれしかないねぇ」


ハルチル「盛大にやっちゃうんだから!!」


彼女は早速呪文を唱える。


ハルチル「勇ましき大地の精霊よ・・・邪悪なる我の敵をその
     手で切り裂くがいい!!!」


次の瞬間大地が揺れ動き、
地面から槍のように岩が飛び出してくる。
空に向かって突き出た巨大な岩は
次々に落下して生き、
アメーバの住む木々や時間鳥の死体を押しつぶしていった。
ノルダリアたちが居る木を除き、周りにはすばらしい
ストーンヘンジが築きあげられた。


マイルコークト「よし!足の踏み場ができた!」


ノルダリア「早く、アメーバが這い上がってこないうちに!」


岩の下では潰され、粉々になった黒いアメーバが
蠢いている。
ノルダリアは先頭を飛び、
飛べない人たちの手をとりストーンヘンジの掛け橋を
渡っていく。



顔を上げると、遠くにぼんやりと明るい、しかし
とても暖かい日の出が見えた。