第十二話「不吉の鳥」

ノルダリア「時間鳥が・・・」

ネロネバルス「コイツは酷い・・・」

地面は時間鳥の羽の緑色で多い尽くされていた。
しかも、普段なら死んだ後も鮮やかでつやのある羽はすべてくすんだ
汚い色になっていた。

マイルコークト「こりゃ・・・伝染病かなにかの可能性が高いよね」

ノルダリア「やっぱり、ウィルス?」

カイル「や、こいつは違うぜ」



カイルが地面を指差した。


なんと、時間鳥の死体にはどれにも黒いネバネバが付いていた。



マイルコークト「ま、まさか・・・」

カイル「さっきの黒いアメーバらが犯人。ここらにまだ隠れてるはず・・・」

どうやら、さっきのアメーバは1匹だけではないらしい。



アメーバが一番恐ろしいのは合体して一つの大きなモンスターに
なることだ。
普通のスライムなら集まるのに時間がかかるが、
アメーバは目にも留まらないスピードで合体する。
しかも・・・相手は酸を持っている。
大きな体に包まれたらひとたまりもないだろう。



ネロネバルス「・・・臭い・・・こいつら、死んでからかなり時間がたってる」

マイルコークト「私達も木から降りられないじゃん・・・」

ノルダリア「私は翼があるけど・・・人一人持つことはできない・・・」




ライティア「なら、木づたいでいけばいいんじゃない?」



皆「ライティア!!」


どうやら気がついたらしい。
スクッと立ち上がると皆を見回した。

ライティア「みんなは高い木を飛び越えるくらいのジャンプ力はあるでしょ?
      ネロネバルスとノルダリアは飛んで移動して、ほかはサルみたいに
      木に飛び移って移動すればどうかなって・・・」

マイルコークト「それ、ナイスアイディア!」

ネロネバルス(騒ぎの発端の癖に偉そうな・・・)

カイル「しかし・・・」




カイル「一つの木の中に1匹はアメーバが潜んでるくらいだぜ」




ノルダリア「・・・・・・」


カイル「もしかしたら、この木の中にもまだ細かくなったアメーバの破片も
    あるかも、だぜ」

移動することもできないし、ここでじっとしているわけにも行かない。
何より腐った鳥の臭いが我慢できそうにないが。



ノルダリア(こんなとき・・・本当に・・・ああ、ハルチル、助けて・・・!)



彼女は心で願った。
愛しい妹に伝わるように。


ノルダリアは本当に助けを求めているのだった。
いつも、助け合ってきた姉妹。
ハルチルが困っているときも、ノルダリアはいつも
力になってくれた。




そして、今・・・
今度は、ハルチルが彼女を助ける番になっていた。



お姉ちゃ――――――――――――ん


ノルダリア「!?」




来たよ――――――――――――!ハルチル来たよ―――――――――!!




沈黙の木の上に、一筋の光――――天使が舞い降りた。