第十一話「アメーバの襲撃」(久々の小説なのだ)

黒いアメーバはうねりながら、此方に近づいてくる。

カイル「ばっバカヤロ!」

マイルコークト「怒らせちゃった!」

木の中に生息するスライムないしアメーバには猛毒がある可能性がある。
うかつに触ってはいけない!
それに、この黒いアメーバは普通のアメーバよりはるかに大きく、移動速度も速かった。

ノルダリア「スライム類は物理攻撃をしても再生するから・・・」

ネロネバルス「魔法攻撃が有効なわけだね!」

ネロネバルスはアメーバに向けて炎のブレスを吐こうとする。
しかし・・・

マイルコークト「木まで燃えちゃうじゃん!」

ライティア「じゃあ、氷結させたら・・・?」

ノルダリアが冷気を放つ。
アメーバの体に霜柱が生える。
だが、アメーバはぐにゃりと身をひねるとその霜柱を溶かしてしまった。
黒い体から蒸気が上がる。

カイル「ええいどけぇ!俺にまかせろ!」

カイルはノルダリアをおしのけ、空中に三角の魔方陣を描いた。
方陣はくるくると回り、アメーバを包み込む。

カイル「今ので奴の動きは封じた!攻撃するなら今だぜ」

アメーバは魔方陣から抜けようと、身を捩じらせもがく。
すかさずノルダリアが呪文をとなえる。

ノルダリア「・・・凍土の霊よ!その氷の刃と戯れ、遊ぶがいい!」

アメーバの体にナイフのような氷柱が突き刺さる。
しかし・・・




シュバッ!!




アメーバの体から多数の触手が伸び、ノルダリアの足に巻き付いた。

ノルダリア「ああっ!」

ノルダリアは苦痛の表情で後ろに倒れこむ。
彼女の足から、蒸気が出ていた。

ネロネバルス「酸だっ!!」

アメーバは酸でノルダリアの足を溶かそうとしていた。
ノルダリアは触手を振り払おうと暴れるが、
べったりと足に付いたアメーバはなかなか落ちない。

マイルコークト「まずい!このままじゃ足が・・・しずく!治癒の魔法よ!」

マイルコークトが小さなスライムを召喚する。
時間稼ぎのために、スライムは一生懸命ヒールを唱え、ノルダリアの足の怪我を治そうとする。

ネロネバルス「そ、そうだ!聖水!暗黒系のモンスターなら、聖水には弱いんじゃ?」

ライティア「私、少し持ってる・・・!」

カイル「ぶっかけろぉ!!!」

ネロネバルスがライティアから聖水のビンを奪い取り、アメーバに掛ける。



シュウウウウウウウ・・・



アメーバが縮まっていく。
だが、まだノルダリアの足には黒い液体がへばり付いていた。

ノルダリア(ああ・・・ハルチル・・・!助けて・・・)

こんなとき、妹がいたらどんなによかっただろうか。
なぜか微笑むハルチルの顔が浮かぶ。
少しだけ痛みが和らいだ気がした。

ノルダリア(私・・・天に戻るのかなぁ・・・)

ネロネバルス「ノ、ノルダリア!しっかり!」

ネロネバルスが聖水を足のアメーバに掛ける。
しかし、もう中に聖水はなかった。
と、そのとき・・・



ライティア「わ・・・私が!」

ライティアがノルダリアの足に手を置く。
そして、なんと素手でアメーバを振り払ったのだ!

ライティア「いた・・・っ!!」

マイルコクト「ライティア何を!そんな無茶・・・!」

ライティア「私の責任だもん!私が取ってあげるから・・・!」

しかし彼女の手は、すでに火傷をしたように皮膚がただれていた。
手が駄目だと思った彼女は・・・今度はアメーバを自分の口で吸っていった!

カイル「バカ!やめろぉ!!!!」

カイルがライティアをノルダリアから引き剥がそうとする。
しかし、ライティアは離れようとしない。

ネロネバルス「こ、このままじゃ・・・!」






やがて、ノルダリアの足のアメーバが消えた。
すべてライティアが食べてしまったのだ。

ライティア「う・・・うぇ・・・」

もう舌も血まみれで、体中に大火傷をしたような状態になっていた。

マイルコークト「しずくの治癒じゃ間に合わない!」

このままでは命が危ない。
しかし、どうすることもできなかった。
薬も使いきってしまい、治す手段がなかった。
皆が諦めた、そのとき・・・



ノルダリア「わ、私なら治せる・・・」

カイル「ノルダリア!」

ネロネバルス「だめだよそんな体・・・    え!?」

ネロネバルスは唖然とした。
なんと、ノルダリアは自分で自分の体を魔法で治してしまっていたのだ。

ノルダリア「まだ、MPはあるから」

彼女はライティアの体に手をおき、呪文をとなえる。
すると・・・じょじょにライティアの体の傷が治っていった。

ノルダリア「大丈夫 あと少しやすませておけば、明日には歩けるようになるよ」

ネロネバルス「スゲー・・・」

マイルコークト「さすが僧侶」

皆が感心している中、一人カイルは黙って空を見ていた。

ノルダリア「どうしたのカイル?」

カイル「・・・・・・」

ノルダリアはカイルの目線の先を見てみた。
するとその先には・・・



ノルダリア「じ、時間鳥が・・・!」

カイル「大量に死んでやがる・・・」

カイルがみていたところ、この木のすぐ下の地面には、
大量に時間鳥が死んでいた。




〜続く〜