第八話 「不思議な青年」

ネロネバルス「ちょ、たおれてんじゃんカイル!」

ノルダリア「大丈夫!?」

ノルダリアが駆け寄り、たたいたりゆすったりしたがカイルは目を開けない。

マイルコークト「なんで・・・?たかが銃を撃ったくらいで気絶するわけないし」

ノルダリア「あ、そういえば」

彼女はなにかを思い出し、2人を見た。

ノルダリア「はじめてあったとき、彼すごく苦しそうだったわよね・・・
      なにか病気にでもかかってるのかも」

ネロネバルス「なぁ〜るへそね?で、どーすんの?」

ノルダリア「万病薬を使ってみる ただ、人間じゃないから危ないかもだけど」

口が開かないので注射ということにした。
もちろん、前にネロネバルスがやってもらったくらいのとんでもなく太い注射で。

マイルコークト「こういうとき、ネロネバルスと違って騒がないのがいいわよね」

ネロネバルス「騒いで悪かったね」






カイル「うっ・・・んー・・・」

しばらくして、薬が効いてきたのかカイルが目覚めた。
しかし、体が汗でびっしょりだった。

ネロネバルス「だいじょーぶだった〜?」

ネロネバルスは近寄って様子を伺おうとした。
しかし、次の瞬間弾き飛ばされてしまった。

カイル「お、俺に近づくなッ!」

ネロネバルス「ってぇ〜な!ぁにすんだよ!」

カイル「あの牛みたいになりたくなければ・・・早くこの洞窟から出て行け!」

ノルダリア「え?何?牛みたいにって?」

ノルダリアは身を乗り出しカイルに問い詰めた。
なにか・・・嫌な予感がする・・・

カイル「だから!この洞窟から出て行け!いますぐ!!」

マイルコークト「は!?な、なんで!?」

しかし、マイルコークトがいった次の瞬間、
カイルは大量の血を吐いてしまった。

ネロネバルス「どどどどうしたん!?」

カイル「いいか・・・忠告するのはこれで最後だ・・・」






カイル「この洞窟は、ウィルスに汚染されているんだぜ・・・」

ネロネバルス マイルコークト ノルダリア「!?」

カイル「俺だってそうさ・・・動植物だけじゃねぇ 空気や水、大地にまで
    ウィルスが・・・わかった?早く帰りなよ」

3人はあまりのことに言葉を失った。
ここがウィルスの巣だったなんて。
それに、洞窟から聞こえてきた苦しそうな声はカイル達だったのだ。

マイルコークト「私達・・・どのくらいここにいた?」

ノルダリア「約1時間くらい・・・」

もう手遅れだ。
空気まで汚染さているのなら30秒そこにいただけで感染してしまう
恐ろしいほどの感染力のウィルスだ。

カイル「好奇心は命取り・・・親切心は身を滅ぼす・・・残念だったね」

カイルは不気味な笑みを浮かべ、洞窟の奥に行こうとした。
しかし・・・

ノルダリア「ま、待って!」

カイル「なんだよ まだなんか足りないわけ?」

ノルダリア「どうせダメなら貴方達を治して見せる!」

カイル「・・・なに?」

思いもよらない発言に、その場にいた誰もが固まった。

ノルダリア「薬ならいっぱいある ここらのウィルスを少しでも減らせるなら・・・
      ね!?やろうよ!マイルコークト、ネロネバルス!」

カイル「ケッ・・・じゃぁこれを見てもまだそれをやるってか?」

カイルは袖をめくり、来ていたジャケットの前を開けた。
なんと、腕から胸にかけて体が腐食していたのだ。
ところどころ皮膚がただれていて、骨が見える場所もある。

カイル「人間だったらここまで来たらとっくに死んでらぁ!もう俺も
    手遅れなんだよ!」

ノルダリア「・・・・・・」

ノルダリアはもう何もいえなかった。
このままここで死ぬのか。
ハルチルのために家に帰ることもできず、誰一人人も救うこともできず・・・
ノルダリアは地面にがっくりとひざをついた。
もう、諦めよう・・・
と、そう思った、そのとき・・・!


?「ギィィャアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

甲高い悲鳴が聞こえた。
どこからは分からないが、誰かが叫んでいるようだった。

カイル「!?」

マイルコークト「どうしたの?」

どうやら、3人には聞こえなかったらしい。
しかし、カイルにはわかったのだ。
この悲鳴、そしてどこから聞こえたのかと。





                                 〜続く〜