第一話 「動き出す運命」

真っ赤な太陽が沈み、青い月が地平線から顔を出すとき。
緑の草が生い茂る丘に、彼女はいた。
長い三つ網をなびかせ、空を見つめていた。

ノルダリア「天使・・・か・・・」

ノルダリアはすっと立ち上がった。
こんなことを考えていても何にもならない。
いったん、お茶を飲みに宿へ帰ろう。
ノルダリアは丘を降り、近くの小さな村へと向かった。




ネロネバルス「おう!遅かったじゃん?どこいってたの?」

宿に帰ると、ゆりいすをしていた少女が振り返った。
その隣で静かに本を読んでいるマイルコークトは彼女の足をバシッと
たたいた。

ネロネバルス「いって!なにすんのよォ!」

マイルコークト「だらしないわよ 戦士ならしっかりしなさい」

ネロネバルスはかったるそうに机に足をかけた。

ネロネバルス「で・・・?どこいってたの?」

ノルダリア「ううん・・・ちょっと気分転換に近くの丘へね・・・」

マイルコークト「少しはすっきりした?」

ノルダリア「あんまり・・・天使界のみんなの事思い出しちゃってね」

家族、友達の事が心配だ。
何よりもノルダリアが気にかけているのは
妹のハルチル。
おねえちゃんだいすきっ子で今はきっと寂しがってるに違いない。

ノルダリア「今度はいつ帰れるかな・・・あと300年は後かしら」

ネロネバルス「まぁノルダリアは天使だからそのくらいまでは生きられ
       るでしょ?」

マイルコークト「は?あんたはそんな事よく平気で言えるよねぇ
        ハルチルちゃんはお姉ちゃんに会うのは
        1年も待てないからね」

ノルダリア「やっぱ天使って長生きできる分いろいろと
      大変な事もあるのよね」

マイルコークト「ところでさ、ネロネバルス
        故郷の事気にしないの?」

ネロネバルス「そりゃ 気にするよ!だって弟も
       おいてきちゃったでしょ?それにお母さんとか
       村がこんな事をしているうちに魔物たちに襲われて
       ないかとか・・・」

ノルダリア「やっぱり・・・その魔物たちを食い止めるためには
      モルデンゲラーを倒さなきゃ・・・」

この世の悪をつかさどる魔王 モルデンゲラー。
ノルダリア達はこいつを倒すために旅に出たのだ。
彼女たちのレベルではまだあいつに立ち向かうことはできないが
必ず、消してみせると誓って旅に出たのだ。

ノルダリア「明日は訓練のためにアグルーの洞窟へ行くわよ」

マイルコークト「そんじゃあ 私夕飯用意しておくわね」

ネロネバルス「早いからぁ〜もう寝てよっと」




              〜続く〜