メイプルストーリー小説 2部 「私の冒険」

むむむむ・・・一回まとめて投稿したのにバグでできていなかったようで再度投稿。




ようやく目がさめた私を見て、
くるみんとカリアは安心したようだ。

カリア「大丈夫?」

未炎「うん、わたしは・・・ あっ!!」

次の瞬間わたしはくるみんが持っていた魔法の鏡を奪い取り、
覗き込んだ。

くるみん「ど、どうしたの?」

くるみんが目を丸くしているが、
私はそんなのお構いなしに鏡を握った。
どこを映すかというと、アクアリウムだ。
私が見たあの夢 海の中だった。
何があるかはわからないが、むしょうにそこが気になる・・・
くるみんとカリアも頭をくっつけ、鏡を覗き込む。

カリア「なにがあるの?」

未炎「わからない でも何かわたしたちが捜しているも物の
   手がかりかもしれない」

アクアリウムが映し出された。
澄んだ水の中ではいろいろな魚が動き回っている。
ふと、私はある岩に目が留まった。
その岩のすきまからは何か緑色のものが漏れ出ている。
くるみんもそれに気がついたようで、
そこをアップで映した。
なにか、魚のしっぽみたいなものがちろちろ見えた。

カリア「もっと大きくできないの?」

くるみん「無理 何か結界みたいなものがはってあってだめ」

ここからじっと見るしかない・・・
わたしはその緑色のものが何か見えるまで観察することにした。
誰か、いるのかな?
しばらくみていると青いものが見えてきた。
と、そのとき何かがはっきり見えた。
人間の足だ!!
茶色い靴、たぶん男だろう。
この靴見覚えがある。
だれだろう
こんなときに限って思い出せない・・・

未炎「ズボンはいてたね 色わかった?」

カリア「薄い土色みたいな・・・かな?」

やっぱりどこかでみたことあるような・・・
いぎゃーおもいだせない!!
最近見てないからか 誰だか思い出せない・・・

くるみん「私も覚えてないよ・・・だれだっけ」

カリア「こーゆー靴は海賊なんじゃないの?」

未炎「あーーーーーーーー!!!カリアナイスっ!」

海賊に襲われたことがあるカリアはあの怖い印象が忘れられないのだろうか。
カリアのおかげで誰かわかった!

くるみん
    「ヘロン!!!」
未炎




くるみん「ヘロンはアクアリウムにいるんだ!」

カリア「アクアリウムに行くにはいったんオルビスに行かないとね」

未炎「水の中でもダメージ受けないアイテムある!?」

といって私は重大な問題があることにきがついた。
そのアイテムはアクアリウムのモンスターからドロップするらしいが
アクアリウムのモンスターはわたしたちにとっては強すぎる。
私はダークサイトでいけるがくるみんやカリアは
ダメージを受けている上くるみんは体力があまりない。

くるみん「うーん サメとかにもあわないといいなぁ」

カリア「あの道を通らずにヘロンのとこまでいける方法はないかしら・・・」

そこで私は名案?を思いついた。

未炎「そーだっ!デュナスにポータルを作ってもらおうよ!」

カリアとくるみんはもちろんびっくりした。
なぜこれを思いついたかというと、
前デュナスに襲われたときデュナスは秋葉原から
ポータルを作ってここに来た。
それにイルヴァータに説得してもらって今は私たちのことを襲わないはずだ。

くるみん「・・・ま そうか」

未炎「それに、秋葉原まで行かずにデュナスを連れてくる方法があるよ」

この鏡は誰かが自分を見ていることを知らせてくれる。
デュナスもこの鏡を持っているから、デュナスをこれでみていれば
気づいてくれるはずだ。

カリア「じゃ やってみましょう」

未炎「秋葉原をうつすよー」



秋葉原が映し出された。
デュナスはすぐにきがついたようだ。
ポータルを作りこっちにやってきた。

デュナス「なんの用だ?もうお前たちのことは攻撃しないぞ?」

くるみん「実はおねがいがあって・・・」

くるみんはデュナスに事情を話した。
デュナスはしばらく黙っていたが

デュナス「わかった 手伝ってやろう」





デュナスは杖を回し始めた。
すると見る見るうちにポータルが出来上がっていったのだ。

デュナス「これでいいか?」

くるみん「うん ok!」

未炎「じゃ いきましょ!」

デュナス「あ ちょっとまて」

デュナスはなにやら呪文を唱えた。
デュナスの前に別のポータルができた。
すると・・・
なんとポータルから美しいアウフヘーベンがでてきたのだ。

デュナス「こいつをつれていけ 何かの役に立ってくれるだろう」





デュナス「さぁ はやく ポータルが閉じてしまう」

未炎「ありがとう!」

そしてわたしたちはポータルの中に入っていった。





と、わたしは大変なことに気がついた。
ポータルの出口はヘロンの真上にあったのだ。
もちろんもう入ってしまったので避けることはできない。

ヘロン「ぐわっ!!」

みごとにヘロンに命中した(しかも3人で)。

ヘロン「いって〜・・・ってお前ら!!!」

くるみん「もうどこふらふらしてたの!?」

ヘロン「何でオレの上に落ちてきた!!」

カリア「えーっと それは話せば長い・・・」

と次の瞬間わたしはヘロンを思いっきり殴った(ヘロンはちっとも痛くないようだが)。

未炎「すげぇ心配したんだからなぁ!!」

ヘロンはしばらく何のことだかわからずポカンとしていたが
くるみんとカリアから話を聞きやっと今までのことがわかってきたようだ。

ヘロン「心配?あー   テメーらなに考えてんだか・・・」

くるみん「そりゃグループの人が怪我したら誰でも心配するでしょ」

ヘロン「へッ  俺のこと誰だと思っているんだよぉ?」

いわれてみればそうだけど
ん?ヘロンのあの傷消えてるぞ!?

未炎「あの怪我どうしたの!?」

ヘロン「あ 治った つーか治してもらった」

と、ヘロンの後ろから小さな鮫がひょこっとでてきた。
この鮫見たことがあるような気がする・・・
と、それを鮫がヘロンの周りをうれしそうに回っているのをみて思い出した。
あの夢に見た鮫だ!
ということはあれはヘロンがみているものをわたしが夢に見たのか!




ふいにカリアがこんなことを言った。

カリア「ここ 水の中だよね」

未炎「そうだけど」

カリア「じゃなんでわたしたち息できるの?」

たしかに・・・
息が苦しくない。

くるみん「未炎 後ろ!」

未炎「!」

振り向くと、後ろにアウフヘーベンがいた。
なんとアウフヘーベンがバリアを張っていたのだ。

アウフヘーベン「このバリアの中だったら大丈夫ですよ」

やっぱすごい アウフヘーベン・・・



カリア「じゃ そろそろもどろうか」

くるみん「だね アウフヘーベンさんが疲れちゃう」

すると、それをきいて鮫は少し悲しそうな顔をした。

ヘロン「あぁ おれも戻んなきゃいけねぇからな また今度来るぜ」

鮫はしぶしぶヘロンからはなれた。

未炎「じゃ アウフヘーベンさん 地上までテレポートしていただけますか?」

するとアウフヘーベンは微笑み、うなずいた。
と、そのとき

マーガナ「みっけ!」





マーガナ「ホントどこ遊びに行ってたの?あんたがいないと困るのよ!」

レリック「また冒険者たちがクリムゾンウッドにやってきてますよ」

マーガナ「しかもね なんかメイプルワールドに平和を取り戻すとか
     なんとかいってシグナス騎士団つれてきてんの!」

え・・・なんのこと?

マーガナ「もちろん そこにいるあんたたちも手伝ってね?」

は!?なに!?
わたしたちに冒険者と戦えってこと!?

くるみん「だめだよ 同じ人間なんだし」

マーガナ「どうでもいい ヘロンを誘拐した罰よ!」

ヘロン「誘拐?」

未炎「でも冒険者が強すぎるよ」

レリック「戦いに参加しなくてもおとりとかをやっていればいいんですよ」

マーガナ「とにかく何でもいいから来なさい!」

次の瞬間わたしは気絶してしまった。




未炎「・・・あ・・・れ?」

気がつくと、私達はロープでぐるぐる巻きにされていた。
ここはどこ?
なんか不気味なところだ・・・

マーガナ「あぁら もうおきちゃったの?」


この声を聞いて思い出した。
私達クリムゾンのやつらにつかまって無理やり戦わさせられるんだった。
いや戦うというよりおとりとか身代わりとか明らかに雑魚。
で・・・マーガナに催眠術でもかけられたのかな?

サーフ「いいのか? こんなやつらにまかせて・・・」

マーガナ「いないよりはマシでしょ!相手は人数多いからね!!」

レッドニーグ「シッ!!大きな声を出すんじゃない!」

カリア「え じゃ レッドニーグさん 敵はもうすぐ近くに?」

カリアのいうとおりだった。
冒険者達がすぐそこまで来ていた。
パラディン、ボウマスター、アークメイジ・・・
強そうなやつらがいっぱいだ。

未炎「あんな強そうなのみてるだけで死にそうだよ」

レリック「目隠しをしますか?私が突き飛ばしてあげますよ」

うー そっちのほうがやだ。
仕方ない 冒険者達の注意をそらすとするか。
私達は作戦を練り始めた。

くるみん「・・・それでいこうか」

カリア「じゃぁこれで決まりね」





カリア「た、助けてーーーーーー」

しんとしたクリムゾンウッドの中、カリアの悲鳴が響いた。
冒険者達が一斉に振り向く。
私達は物陰に隠れた。

パラディン「誰だ!?」

ボウマスター「あそこ!女の子よ!」

ボウマスターが指差したのは真ん中の王座。
そこにカリアが縛り付けられていた。

シャドー「まて 罠かもしれない・・・」

シャドーが慎重に王座に近づく。

カリア「は、早く縄を解いて!!!」

シャドーが縄に手をかけ、解き始める・・・
と、次の瞬間

シャドー「!!」

シャドーの真下の床が抜け落ち、シャドーはそのまま落ちていった。

アークメイジ「きゃあああああ!!!」

冒険者達はパニックになった。
よし ここまでは計画通りだ。

マーガナ「ふふ・・・こんな簡単な手に引っかかるとはね」

マーガナは天井にいるサーフに合図を送った。
サーフは静かに飛び降り、冒険者達に忍び寄った。
さっきの事件に気をとられていた冒険者はサーフに気づいていない。

ズダァアアアッ!!!

鼓膜を突き破るような音とともにパラディンの体が真っ二つに裂けた。
冒険者達はあまりの突然のことに唖然としていた。
その間に仲間がどんどん倒れていく。

ボウマスター「だ、だめよ 敵がどこにいるかわからない!」

キャプテン「くそ・・・このままじゃ・・・」

これでサーフがどんどん倒していけば計画通り冒険者たちに勝つことができる。
が・・・ここでとんでもない邪魔が入ったのだ。

イリーナ「たぁあああっ!」

疾風の矢がサーフに襲い掛かる。
サーフはすんでのところでかわしたが、どこにいるかばれてしまった。

ボウマスター「あ、あなたは・・・!」

イカルト「無理をするんじゃない ここは俺達に任せろ」

シ、シグナス騎士団!!
やばいぞ これは転職官並みにやばい。

マーガナ「あ〜 1段階のときで終わってくれれば楽だったのに・・・」

レリック「ちょっと面倒になりますね・・・」

あと2つくらいはほかの作戦も考えているが
レリックのいうとおりシグナス騎士団が来てしまっては・・・
と思ったそのとき

アウフヘーベン「皆さん 私を忘れてはいませんよね?」



未炎「ア、アウフヘーベンさん!」

アウフヘーベン「私も闘いに参加させていただきますよ!」

アウフヘーベンはなにやら唱えた。
すると彼女の周りに光が集まり、冒険者達に放たれた。

ダークナイト「うわぁあっ!」

ダークナイトが遠くに弾き飛ばされた。

ボウマスター「く、くそ・・・ これでも食らえ!」

今度はアウフヘーベンに向かって何本もの暴風に矢が飛んでくる。
が、その矢はアウフヘーベンの前まで来るとぱたりと落ちてしまった。

ミハエル「だめだ!そいつは今シールドを張っている 攻撃しても無駄だ!」

アウフヘーベン「ミハエルさん・・・そんなことより あなた」

ミハエルはハッと後ろを振り向いた。
が、遅かった。
ミハエルはレリックのビームで壁にたたきつけられた。

オズ「ミハエルになにをするの〜っ!」

オズはレリックに向かって紅蓮の炎を放った。
しかしレリックはそれをひらりとかわした。
レリックのスコープが怪しく光る・・・

くるみん「・・・ところでヘロンがいないんだけどどこいったの?」

未炎「クリムゾンウッドのどこかで待機してるはず・・・大丈夫だよ」

そこへ無事抜け出したカリアが戻ってきた。

カリア「レリックとアウフヘーベンさんのおかげで戦場はこっちが有利になったわ
    あとはヘロンがシグナスを何とかするだけよ」

未炎「でも、まだ油断はできない 最後の駒は取っておかなくちゃ」

くるみん「チェスではポーンが先 私達もそろそろ行きましょうか」

私達も身代わり作戦の実行に入った。
なるべくレリックたちに攻撃が当たらないようにする。
早速マーガナのところに大きな手裏剣が飛んできた。
と、マーガナの前にくるみんが立ちはだかる。
手裏剣はくるみんに命中した。
が、くるみんはあまりダメージを受けていないようだ。

ナイトロード「な、なに?」

マジックガード
くるみんのMPは0になったが体力はまだ半分あった。

レッドニーグ「ゴルァアアッ!」

レッドニーグがむちゃくちゃに斧を振り回す。
ふふ・・・これで相手もたやすくはこっちに近づけないだろう。
こっちも相手に近づけないけど。
くるみんは今のうちにMPを回復する。
と、後ろからイカルトがきた!
サーフの胸へめがけて手裏剣を放とうとする・・・
それにいち早く気がついたのはレッドニーグだった。
スピンをやめものすごい勢いでイカルトに突進してきた!

イカルト「な・・・!」

ぎりぎりでかわしたが、イカルトは体制を崩してしまった。
よかった・・・とほっとしたのもつかの間。
アウフヘーベンがずっとダークナイトに攻撃されていたのだ!
近くのアークメイジの魔法で動けないらしい。
アウフヘーベンが力尽きて倒れそうになったとき・・・!
光り輝く魔方陣がアークメイジを飲み込んだ。

アークメイジ「ぎゃああああああっ!」

アークメイジは一瞬にして炎に包まれた。
どうやらこいつは氷雷のだったらしく、大ダメージを受けた。
魔法陣が放たれた方向を見ると・・・

未炎「デュナス!」

デュナス「まったく・・・何をやっているのかと見にこれば・・・」

デュナスはまた魔法陣を作った。
するとその魔方陣は輝く竜となりダークナイトを襲った。

ダークナイト「グッ・・・くそ・・・」

彼はそのまま消えてしまった。
あとは冒険者はボウマスターだけだ。
そのとき・・・!

ピキーーン!

レリックのスコープがわれ、砕け散った。

レリック「・・・!」

レリックは地面に倒れこんだ。

マーガナ「ちょっと・・・アンタ!」

マーガナが駆け寄るが、そこにはもうレリックはいなかった。
そのとき マーガナを稲妻が襲った。

マーガナ「あっ・・・!」

ホークアイだ!
左手の拳が電気を帯びている。

ホークアイ「俺らはぜったいに負けない・・・どんなことがあっても!」

ホークアイは金色の鮫を放った。
マーガナに直撃する!!!
が、鮫は突然いなくなってしまった。
まるで何かに吸収されたようだ。

ホークアイ「うっ・・・まさか・・・!」

ホークアイの視線の先にいたのは・・・
ヘロンだった。

ヘロン「ケヘヘヘヘ・・・やっとお前と遊べるな・・・」



ヘロン「ゴルァアッ!!」

ヘロンは思い切り地面を殴りつける。
すさまじい音とともに地面が大きく揺れる。

ホークアイ「くっ・・・」

ヘロン「オラオラどうしたよぉ!?」

ホークアイにたくさんの鮫が襲い掛かる・・・
ホークアイはよけきれずに鮫の波にのまれた!
ヘロンはまた次の攻撃をしようとした
が・・・

オズ「ホークアイをいじめちゃだめだよッ!あたしが相手になる!」

くそ、また邪魔が・・・

オズ「アンタの弱点は知ってるよ!弱点じゃなくてもあたしが灰にしてあげる!」

オズの手から炎が放たれた。
あまりの熱気に私は目をつぶった。
しかし心配はしてなかった。
ヘロンはこのくらいなら倒れないだろうと・・・
と思ったそのとき・・・!

ヘロン「ぐはっ!!」

血しぶきが飛び散った。
なんとヘロンの胸に何本も矢が刺さっているではないか・・・!

ボウマスター「何をしようと、わたしが許さない!死ね!」

ボウマスターはさらに何本も矢を放った。
すると、そばにいたオズが矢に炎を放った。
あれは、炎の矢!!
真っ赤に燃える矢がヘロンの方にグサリとささった。

ボウマスター「死ねッ!死ねッ!死ねッ!!よくも私の仲間を・・・!」

ボウマスターがまた矢を放とうとした。
と、そのとき・・・!
ボウマスターの体が凍った。
彼女は目を開いたまま氷の中にいた。

くるみん「ふふ・・・コールドビームがこんなとこで役に立つとはね!」

ミハエル「くそっ!オズ!早く溶かせ!死なせちゃだめだ!」

オズが炎で氷を溶かそうとしたが、その手をマーガナがピシャリとたたいた。
オズは手を押さえその場にうずくまる・・・

未炎「イェーイ今のうちにやっちゃおお!!最高だねッ!」

ハッ!?
今わたしは何を言ってるんだ!?
最高!?そんな・・・!
だめだ 体が無意識の中で動いていく・・・!
遠くでくるみんが叫んでいる。

くるみん「あっ 未炎!だめだよいっちゃ!」

わかってる・・・わたしにもわかってる・・・
だけどとめられない。
私は踊るようにオズのところにいき・・・

グシャッ

オズの背中を短剣で刺した・・・
オズは驚いて目を丸くしたが、しばらくして力尽き、倒れた。
そんな・・・わたしの力でオズを一撃で殺すなんて・・・!
これはわたしじゃない!
何かが私を操っているのか!?
くるみんとカリアも呆然と立ち尽くしている・・・
そして、なんだろう・・・なぜか頭がぼんやりしてくる・・・
が 次の瞬間わたしは我に返った。
だめだ ここで気絶してはいけない!
大切な人が戦っているのだから!




ところが・・・
気がつけばオズはいなくなったものの、戦場は向こうがリードしていた。

アウフヘーベン「うっ・・・!」

デュナス「大丈夫か!?」

アウフヘーベン「もうだめ・・・かもしれない・・・」

デュナスが振り返ると、アウフヘーベンは血まみれになり
たくさんの矢が刺さっていた。

アウフヘーベン「ごめんなさい・・・」

アウフヘーベンは持っている剣を天にかざした。
すると、剣は光り輝き、天からいくつもの光が降りそそいだ。

くるみん「あれは・・・ジェネシス?」

未炎「違う!もっと大きい!」

アウフヘーベンが光に包まれる姿は、まるで光の女神のようだ。
美しい髪がなびき、翼がなお輝いてみえる。
と、次の瞬間その光が敵を飲み込んだ!
光はどんどん輝きを増し・・・
ついにはクリムゾンウッドを包み込んだ。




なんだろう この不思議な感覚は・・・
シグナス騎士団は苦しさにもがいている。
が、私達は何も苦しくなく、かえってとても気持ちいいのだ。
後ろを振り返ると、そこにアウフヘーベンがいた。
アウフヘーベンは天使のようににっこり笑った。
なんて美しいんだろう・・・
と思ったそのとき、アウフヘーベンの体が透けてきた。

アウフヘーベン「私はこれで力をすべて使いました・・・どうか、どうか 
        私がいなくなっても、みんなを守り続けて・・・」

未炎「え!?まって!いかないで!!」

そういう私の声もむなしく、アウフヘーベンは優しい光となって消えた。
・・・そしてしばらくすると、周りが元の明るさに戻ってきた。
気がつくと、シグナス騎士団がいなかった。
今のはなんだったんだろう・・・

デュナス「アウフヘーベンが・・・シグナス騎士団のやつらを連れて行ったんだ・・・」

未炎「連れていったって?」

デュナス「アウフヘーベン異世界の魔物だった・・・自分が消滅するとともに
     シグナス騎士団のやつらを異世界に連れて行ったんだ・・・」

くるみんやカリア、クリムゾンウッドのみんなは気を失っているようだ・・・
だが、その中で血にまみれて倒れているのがあった。
ヘロンだった。



暗闇の中・・・
ひっそりと亡霊のようにたっている一人の少女が見えた・・・
目は死んだ魚のようにうつろでどこを見つめているかわからない・・・
そしてその少女は紺色の不思議な服を抱きかかえていた。
あの服・・・何か懐かしいような気がする・・・
ところで、今頭の中でこんなことを考えている私は誰なんだ?
その少女を見つめているだけで今呆然と立ちすくしている私は誰なんだ!?
とりあえず明かりを探そう。
こんなくらい中では鏡が合っても自分が見えない。
私は辺りを見回そうとした。と・・・

少女「ねぇ・・・まってよ・・・」

突然さっきの少女が口を開いた。
かすれた声で話しかけられたので私はびっくりした。

少女「もどってきてよ・・・私の体に戻ってきてよ・・・」

なにを言ってるんだ こいつは!
戻ってきてだと!?

私「私はお前の魂じゃない!どうして戻ってきてなんていうんだ!」

少女「だって・・・ヘロンはどうなるの・・・?」

私「ヘ、ヘロン?なんだそれは」

少女「消えた・・・私が近寄ったら彼は煙のように消えた・・・」

少女は持っている服を硬く握り締めた。

少女「残っているのは・・・これだけ・・・これだけ・・・」

何度も同じ言葉を繰り返し、涙目な彼女を見て私は腹が立ってきた。

私「なんだよ!さっきから変なことばっか言って!」

少女「お願い・・・私の体に戻って・・・ヘロンを助けたい・・・」

私「自分が誰なのかもわからないのに、お前なんかを助けられるか!」

ついかっとなって私は少女を殴ろうとした。
が、そのとき、少女は思いがけない言葉を口にしたのだ。

少女「わ・・・私は・・・あなたの・・・体・・・」

私「か、体だと!?」

わたしはその少女をじっと見た。
とげとげとした茶髪、桃色の瞳・・・
確かにどこかで見たことがあるような気がする・・・

少女「これを・・・みて・・・」

少女は小さな鏡を取り出した。
すると、その鏡の中が揺らぎ、何かが映し出された。
背の高い海賊のような・・・潮風で美しい銀髪が揺れている・・・
それを見て、私は今までのことを思い出した!

私「もしや、あなたが抱いてるのは・・・ヘロンの服?」

少女「そう・・・気がついてくれたんだね・・・嬉しい・・・でも」

すると少女の顔が見る見るうちに変わっていった。
うつろな瞳は真っ赤に燃え上がり、口は耳まで裂け、世にも恐ろしい悪魔の姿になった。

少女「もう遅いのよ!私の体は腐り始め私の魂は夜明けとともに消える・・・
   もっと・・・もっと早く気づいていればよかったのに・・・!」

と、次の瞬間、少女の体が紅蓮の炎に包まれた。

少女「ぎゃああああああああああああっ!」




デュナス「未炎 大丈夫だったか?」

私が後ろを振り向くと、そこにアーシアとデュナスがいた。

未炎「さっきのことで全部思い出した・・・私の体は?」

デュナス「あれはお前の体ではない お前の竜やシグナス騎士団への憎しみと
     ヘロンへの愛しさだ・・・それが合体して肉体となり
     次はお前の魂そのものを吸い取ろうとしていたのだ」

そして、アーシアが一人の少女を抱きかかえてやってきた。

アーシア「これが・・・あなたの本当の体です」

未炎「え 私やっぱり死んだってこと!?」

デュナス「そうだ」

未炎「じ、じゃあさっき私の怨念が私に戻ってっていったけど、もしかして
   もう一度生き返らせてくれるの!?」

ヘロンを生き返らせたい・・・
私の心はそれでいっぱいだった。
が・・・デュナスは首を横に振った。

デュナス「一度死んだものは生き返ることはない・・・あの怨念は
     ヘロンにあいたいあまりに自分が必ず生き返ると信じ込んでいたのだ」

デュナスの言葉に、私は崩れ落ちた。
が、デュナスはこんなことを言ったのだ。

デュナス「今のお前でヘロンを生き返らせることは無理だ
     お前が生き返ることもできない  だが
     不可能ではないのだ・・・」

未炎「ど、どういうこと・・・?」

アーシア「今のあなたではなく、別のあなたでやってみるのです
     ヘロンは人間ではないので1度死んでも生き返ることができるでしょう」

デュナス「生まれ変わるのだ 次の生き物へと・・・」

デュナスは天に杖をかざした。
すると、天に光の渦ができた。

デュナス「さあ いくがいい 次のお前として・・・」

未炎「え?まって!ちょっと!!!」

私は何かをいおうとしたが、その前に
天の光へと私は吸い込まれていった・・・




終わり。今度こそきちんと投稿できますように。おやすみなさーい